@article{oai:kyotogakuen.repo.nii.ac.jp:00000906, author = {大野, 彰 and Ohno, Akira}, issue = {1}, month = {2009-09-01, 2018-05-28}, note = {企業家は、自らの価値観に基づいて、生産する生糸の品質を先決的に決めていた。頑なに高品質にこだわった生糸生産者がいたのは、高品質生糸の生産に伴う社会的報酬が金銭的報酬と同じ効用を彼らに与えたからである。他方で、社会的報酬を重んじる価値観をもたない企業家は、中程度の品質を目標にして生糸を生産していた。  高品質生糸を生産するためには、製糸工女や養蚕農家がモラルハザードに陥ることを抑止しなければならない。イタリア・フランス・中国(上海)の製糸場では、多数の監督を配置して工女を監視することによって情報の非対称性を解消し、工女のモラルハザードを抑止していた。  これに対して日本の生糸生産者は、総じて少数の監督しか配置していなかった。日本の高品質生糸生産者は、パターナリズムを導入することによって工女や養蚕農家に対して相手を大切に扱っているし相手を信頼しているのだというシグナルを送り、彼らがモラルハザードに陥ることを抑止していた。  品質が中程度であった信州上一番格生糸の生産者は、賞罰を伴う出来高払い賃金制度を導入することによって工女のモラルハザードを抑止していたように見える。ところが、工女が繊度検査を巧みにくぐり抜けていたために、その実効性には限界があった。つまり、事後的な検査では生糸の品質を担保することはできなかった。しかし、アメリカ市場では生糸の繊度整斉に対する要求がヨーロッパ市場よりも緩やかであった。しかも、柄が目を奪い品質には注意が向かわないルイジアナ・チェックのような絹織物を織るには、イタリア・フランス・中国(上海)産生糸の高品質は過剰品質であった。この場合には、経糸にも緯糸にも信州上一番格生糸を使えばよかった。工女のモラルハザードをある程度黙認して生産された信州上一番格生糸は、繊度はあまり揃っていなかったけれども、監視費用を省いた分だけ安価だったからである。, 1, KJ00005987279, 論文, Article}, pages = {1--44}, title = {企業家が先決的に選択した生糸の品質が製糸企業のあり方を決めた}, volume = {19}, year = {}, yomi = {オオノ, アキラ} }